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「極貧からパリ日本大使館シェフへ、その後、大正天皇の料理番になった男の生涯」

極貧からパリ日本大使館シェフへ、その後、大正天皇の料理番になった男の生涯」
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著者:大石不二夫、中村信也
出版社:NextPublishing Authors Press
発売日:2022/7/9

本書はあなたのための本です!
大石不二夫

こんな人生があったのか? 裸一貫ここまでやれるのか? 明治・大正・昭和を創意と工夫で堂々と生き抜いた料理人樂満斎太郎の道義を貫いた生涯の実話である。

斎太郎は能登の寒村の木こりの子に生まれ、尋常小学校高等科を中退し、家出をして大阪の料理屋の丁稚奉公から始めた。創意と工夫で頭角を現し、兄弟子からリンチにあいながら、料理長にもう一歩まで達した。徴兵検査で帰省した帰り、関西関東への分れ駅にて、これからは首都だな!と東京行きに飛び乗った。東京でトップクラスの名料亭でゼロから修業を始め日本料理をマスターしたころ、「誰かパリの日本大使館シェフにならないか?」の店長の声に、斎太郎一人が手を挙げた。数日後フランス語は全く知らずにマルセイユへ船出した。

大使館では石井日本全権大使ご夫妻、内外の館員、各国の西洋人賓客に心のこもった料理を供しつつ、西洋料理をマスターした。休日には郊外の見知らぬ民家を訪れ、フランスの家庭料理を教わったり、ルーブル博へ百回も通い、地下の秘密展示ものぞいた。オードブルからヒントを得て、和食にトマトなどを加え「前菜」を考案した。

当時皇太子の昭和天皇陛下が欧州歴訪の途上、大使館に宿泊され、久しぶりの日本食を楽しまれた。
パリを訪れた天皇の料理番秋山徳蔵(主厨長)から大膳亮へ誘われ、帰国後に大正天皇両陛下専用の料理番となり日本食を担当した。退職後パリ大使館の同僚だった妻と小さな割烹を始めた。関東大震災そして太平洋戦争を乗り越え、戦後は芝の増上寺から借地して料亭を開き、オーナーシェフとなる。東京タワー建設でそこを立ち退き、六本木に土地付き料亭を新築した。長谷川一夫など名士の顧客に恵まれ繁盛を極めた。その後顧客の一人武蔵五日市町の名士三内氏から、郷里へ戻るので料亭をつくり経営を任せたい。との誘いに応じて、秋川渓谷沿いに高級料亭を始めた。観光ブームの以前であったため、苦闘の末、倒産廃業に至った。斎太郎は引退し、武蔵五日市駅近くの山麓に自給自足の農園をつくり、一人で自然生活を送っていた。

その近くに転居した著者が週末ごとに訪れ、樂満斎太郎が明治・大正・昭和を創意と工夫で生き貫いた実話を聞き取りまとめたのが本書である。
作家でもある中村信也医学博士に文章を指導していただき、共著とした。

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